シルバーの復活(下)/因縁

アンビー
「11号」と「トリガー」が店にいないみたい。
どこに行ったか知ってる?

リン
行き先は教えてくれなかったんだよね。
あ、ひょっとして2人でデートかな?

アンビー
…デート…
……
…………………………………………………………………………………………………………
…あの2人…
どうして私を誘わなかったの?

アキラ
デートだったとして、どうしてアンビーを誘うんだい?
僕の経験上、デートの定員は2名が相場だ。

アンビー
「トリガー」は、「11号」の面倒を見られることを証明したいと言った。
私がその場にいないのに、どうやって証明するんだろう…

リン
もしかしたら、「11号」に気分転換させたくて普通にデートするってだけかもよ?
それにしても「11号」ってすっごくタフだね…
すごい重傷だったんでしょ?
外を走り回ってて平気なのかな?

アンビー
ええ。
全エネルギーを優先的にバイタルの安定に回して、戦闘能力を最高の状態に保つ――
これはシルバー小隊にとって、基本中の基本だから。

アキラ
アンビー。

アンビー
なに?

アキラ
いつか、君はちゃんと全てを教えてくれる…
そう思っていいかな?
君が意図したかどうかにかかわらず、僕とリンは既に巻き込まれている。
真実を知る権利くらいはあると思うんだ。

アンビー
…だめ、って言ったら?
私には分かるの…
本当のことを全て話したら2人とも、きっと私のことを放っておけなくなるわ。
そう、大ヒットした映画を人が放っておかないのと同じように…
どれだけ綺麗に終わったとしても、必ず出来の悪い続編ができてしまうでしょう。
私は、そんな続編を見たくないの。

リン
だいぶ分かりにくい例えだったけど…
でも、出来の良い続編だってあるでしょ?

アキラ
ああ、2本目が振るわなかったけれど、3本目が思いのほか良かったというシリーズは確かにある。

アンビー
……

アキラ
もちろん無理にとは言わないさ。
ただ、僕たちはわかってほしいだけなんだ。
いつだって君は一人じゃないと。

リン
そうそう!
こういうとき頼りになってこその友達でしょ?
あんたに初めて会ったときのこと、私はまだ覚えてるよ。
あのときのアンビーは今よりずっとピュアだったなぁ…
でも、すぐにこう思ったよ。
私たちはいつかお互い信頼し合う仲間になってかけがえのない日々を過ごすんだ、って。

アンビー
……!
うん。
ありがとう。
私も、少しはあの時より成長しないと…
…ニコと、邪兎屋のみんなに連絡したい。
手伝ってくれる?

リン
わあっ!
アンビーの家出がやっと終わるんだね!

アンビー
うん。
言っておきたいことがあるの…
全てを終わらせる前に。

リン
ふっふっふっ…

アンビー
リン先生…?

リン
ふふふ!
ぐふふふ!

アンビー

リン
ねっ!
言ったでしょ、お兄ちゃん!
アンビーは必ず邪兎屋に打ち明けてくれるって。
ほらほら私が勝ったんだから、5000ディニーちょーだい!

アキラ
やれやれ、本当にリンの言った通りになった。
アンビーに黙ってニコに連絡を入れ出したときは、流石にまずいんじゃと思ったけれど…

アンビー
…邪兎屋のみんなに、連絡してくれてたの?

アキラ
リンの独断でね。
――今頃、ニコもビリーも猫又も、全員六分街に来ているんじゃないかな。
僕とリンは開店準備で忙しいから、一人で行ってもらうことになるけれど…
それでもいいかい?

アンビー
…うん、もう迷わない。
ありがとう、本当に…
ありがとう。

家出してから随分長い時間が経った…
あらゆる手を使ってニコに謝らなくちゃ。

…ニコと話しましょう…

「邪兎屋」
【?】ムービーじゃと

アンビー
ニコ…

ニコ
あ~らアンビーじゃない。
あたしのこと、まだ覚えてたのね?

アンビー
何も言わずにいなくなって、ごめんなさい。
どんな罰でも受けるわ。

ニコ
あんたに罰なんか与えて、あたしになんのメリットがあるワケ?
そんなのより大事なのは誠意よ。
せ・い・い。
どうやって落とし前をつけてくれるのかしら?

アンビー
わ、私は…

ニコ
私は?

アンビー
もう…
大好きなハンバーガーを二度と食べない。
これからは…
毎日ラーメンで過ごすわ…

ニコ
あたしへの誠意でしょ!
なんでチョップ大将が儲けてんのよ!

アンビー
ダメ…?
じゃあ…
ニコと猫又が映画を観てる時、もう二人の間に割って入ったりしない。

ニコ
あたしたちの間に、猫又が入ってくる方がずっと多いんじゃないの…?
じゃなくてホラ、もっとこう…
あるでしょ!?

アンビー
うん…
じゃあ…
お給料はもういらない。

ニコ
ふぇっ!?

アンビー
あと、ビリーの分も。
お給料なしで我慢してって説得するわ。
それでいい?

ニコ
あんたねぇ、ホワイト企業・邪兎屋のカンバンを微塵にたたっこわそうとしてるワケ?
もういいわ、今回は貸し一つってことにしといたげる。
埋め合わせは…
思いついたらまた言うわ。

アンビー
ニコ…

ニコ
ああああ、もう――!
そんな小動物みたいな目であたしを見ないでちょうだい!
いい、アンビー?
むかしのあんたが何者で、いま何に巻き込まれてようと、あたしたちは足手まといにはならないわ。
あんたのお守りはいらないし、あんたが手出すなって言うなら黙って見てる。
邪兎屋の中でワケありなのは、あんただけじゃないんだから。
もっとあたしを信用しなさい!
じゃないと、あたしが頼りないみたいじゃない!

アンビー
ごめんなさい、言い訳のしようもないわ。
何も言わずに出て行ったのは、考えが足りてなかった。
全部が終わったら…
どんな質問にも答えるわ。
もう隠し事はしない。

ニコ
よしよし、いい子ね~
あんたってホント嘘つけないんだから、ちょっとは自覚しなさい。

アンビー
ええ、わかったわ。
そうだ…
ニコに頼みがあるの。

ニコ
やっとあたしの出番ってワケね?

アンビー
私によく似た顔で、防衛軍の制服、ゴーグルを着けた女性がいるの。
かなり目立つと思う、彼女を探すのを手伝ってほしい。

ニコ
安心しなさい。
邪兎屋が猫探しの依頼にかける時間は平均でも3時間14分8秒よ。
人ならもっと早いわ。

ニコ
すぐ情報筋を何人かあたってみるわ。
見つかりしだい知らせるわね!

信頼できるビリーに、邪兎屋の近況を聞いてみましょう。

…ビリーと話しましょう…

ビリー
アンビー!!!
やっっっと会えたな!
くぅー…
よかったぜ…
うぅ…
あともうちょっとで、アンビーはもう戻ってこねぇんだって覚悟をキメちまうとこだったぜ!
あとほんのちょっとで、だ!!!

アンビー
何も言わずに居なくなって、本当にごめんなさい。
もうみんなが私を失わないように…
私、頑張るわ。
最近、みんなはどうしてた?

ビリー
ああ、ニコの親分はそりゃもう毎日愚痴ってたぜ。
店長のとこに転がり込んでるってことも知ったうえでな…
…けどよ、「あそこから無理やり引っぺがしても意味ないでしょ!」ってさ。
だからアンビーが連絡くれたとき、怒ってるように見えて内心ホッとしてたと思うぜ。
猫又に至っては――
聞いて驚くなよ、あの猫又が、アンビーのことすっっげぇ心配してたんだ!

アンビー
猫又が…
私を…心配…?

ビリー
嘘じゃないぜ。
アンビーの知らないとこで、うちの子猫ちゃんはそりゃあもう大慌てだったんだからな。

アンビー
……

ビリー
店長のとこでやっかいになってるってことは、とんでもねぇことに巻き込まれてるって察したみたいでよ。
「自分だけでなんとかする」のは危ねぇ心理だって猫又はいちばんわかってるからな。
つい昨日だって、ずびずび言いながら「あたしが普段から、もっと気にかけてあげてたら~」とさ。

アンビー
猫又が…
私を…気にかける…?

ビリー
ああ。
なんかプレゼントも用意してて、また会えたら渡すんだって言ってたぜ。

アンビー
プレゼント…
私に?

ビリー
おいおい、さっきからビックリしっぱなしだな?
ま一正直俺もその気持ち、わかるけどよ。
女の子同士の友情って、不思議なもんだな――って思うぜ。
あれだな、もっとそういうテーマのビデオとか見た方がいいのかもな!
バンド組むやつとかさ!

アンビー
………………………………

ビリー
おっと、猫又に会っても俺がぜんぶ話したってのは内緒な!
じゃねぇと、金たわしでこすった鍋底みてぇに全身ボロッボロにされちまう!
頼むぜアンビー、首を縦に振ってくれぇええ!!

猫又の態度が気になる。
彼女とよく話してみましょう。

…猫又と話しましょう…

「猫の贈り物」
アンビーは猫又からプレゼント――
アンビーの形をしたぬいぐるみを受け取った。

アンビー
…コホン、そこにいるのは誰?

猫又
にゃあああああああ――!
なんだ、アンビーか…

①久しぶり
②【?】

アンビー
久しぶりね。
私が留守にしてる間の邪兎屋は居心地が良かったと思うけど。

猫又
…あったりまえだぞ!
ニコのお膝を独り占めできて、す~っごく嬉しかったんだから。

アンビー
人間の足が二本あるのは、二人同時に膝枕をするため…
って映画で言ってたわ。

猫又
出た出た、映画バーガー…
じゃなくて映画バカ。
へへん…
そんな映画のセリフじゃないとまともに話せないあんたに、優しい猫又サマからプレゼント~!
ほら、これ!

アンビー人形
【?】
猫又が丹念に作った人形、本物のアンビーとは多少似ている。
「頭が重いのはなぜなの?」
「誰かさんがいっっも真っ逆さまにホロウに落ちるから、その姿を再現してみたにゃ!」

アンビー
…人形?
なんだか私みたい。
縫い目が粗いけど、あなたの手作り?
これは、気持ちがこもりすぎてて簡単に受け取れないわ、猫又。

猫又
ふんだ、ジカジョ~!
ほんとはニコのお人形を作ってあげようと思って材料キットを買ったんだけど…
いざやってみたら、頭でっかちで体がペラペラなブサイクになっちゃって…
全然ニコっぽくないからちょ~っとアレンジしてみたらびっくり!
アンビーそっくりにできちゃったんだ〜!

アンビー
私、こんな顔じゃないわ。

猫又
いやいや、もう双子ってくらいそっくりだぞ!
ほらほらとっとと受け取って!
それで、できれば肌身離さず持ち歩いて…

アンビー
肌身離さず?
治安官に止められて、お腹を割られたら違法なものが出てきたりするんじゃ…?

猫又
うにゃあ…
猫ちゃんがストリート出身だからって、偏見は良くないぞ。
ニコの膝枕に誓って、別にダメなお薬とか入ってないから!

アンビー
なら、信じるわ。
お返しに何かおごらせて。
焼きサバラーメンはどう?

猫又
おお!
猫又サマを敬うなんてい~い心掛けだぞ!
喜んでゴチに…
って言いたいとこだけど、今はいいかなあ。

アンビー
どうして?
ラーメン屋はすぐそこよ。

猫又
やることやって、無事に帰ってきたら、そのときはちゃあんとサバをおごってもらうぞ!
約束!

【?】手の中の人形の重みが増す。
…猫又の笑顔を前に、俯くしかなかった。

…猫又と話しましょう…

ニコ
アンビー、情報が入ったわよ。
あんたが探してる例の人…
ルミナスクエアにいるみたい。

アンビー
女の子が1人そばにいて、2人して川の方に向かってる…って。

アンビー
わかった。
ありがとう、ニコ…

ニコ
ふっふーん、それだけ?
もっとこのニコを褒めたたえなさい!

アンビー
ニコ、あなたは最高…

ニコ
いい子ね。
さ、もう行きなさい。
外で遊ぶのもいいけど、ちゃあんと帰ってくるのよ!

①うん、ルミナスクエアに行く
②⋯もう少し準備する

-------------------------

ニコ
はーやだやだ。
なんであたしみたいなうら若き乙女が、こんな母親じみたこと言うようになっちゃってんのかしら…!

アンビー
ママ。

ニコ
そう呼んでほしいって意味じゃないわよ…

①大丈夫、ルミナスクエアに行く
②もう少し一緒にいる

-------------------------

ルミナスクエアに行って、デート中の二人を探しましょう。

…ルミナスクエアへ向かいましょう…

「完璧なデート」
アンビーは安堵した様子で「11号」と「トリガー」にぬいぐるみを預け、代わりに保管して欲しいと頼んだ。

アンビー
ここにいたのね。

「トリガー」
申し訳ありません、アンビー…
こっそり彼女を連れ出したんです。

アンビー
あなた…
気分はどう?

「11号」
それは私に言ってるの?
あなたの顔…
どこかで見たような気がするわ。
でも…
思い出せないわね。

アンビー
私はアンビー。
この名前に聞き覚えは?

「11号」
……
…………………………
ごめんなさい、ないわ。
私たちは知り合いだったのかもしれないけど、今の私の記憶には問題があると「トリガー」…から聞いてる。
回復に努めるわ。
いつか、あなたのことを思い出せるかもしれない。

アンビー
今日、その「トリガー」と…
どこに行ってきたの?

「11号」
「ラーメン」というものを食べに行ったわ。
炎のように真っ赤で、とてもおいしかった。
それと、猫という生き物と戯れたの。
思った以上に柔らかい触り心地だったわね。
あとはゲームセンター、ショッピング、ティーミルクも飲んで…
トレーディングフィギュアを引いた。
暗くて騒がしい場所で「映画」…
というものも観たわ。
鑑賞中、暗闇に乗じて不埒な真似をする人がいたの。
簡単な格闘技は覚えていたから、その場で制圧したけど…
事情聴取のために、「治安局」まで連れて行かれたわ。
「治安局」から出たあとは、「トリガー」が川辺で夕陽を見ようと誘ってくれたの。

アンビー
「トリガー」…
デートの達人?

「トリガー」
すべてビデオ屋の店長さんに教わったことです、私は勤勉な教え子に過ぎません。
とにかく、悪くない体験だったでしょう。
「11号」?

「11号」
ええ、楽しかったわ。
でも、この体はのんびりすることに慣れていないみたい。
無性に腕立て伏せを何セットかこなしたくなってくるの。

「トリガー」
まさに模範的兵士…
言葉が見つかりませんね。
…アンビー、これで安心できましたか?
「11号」は私の大切な戦友です。
これ以上戦友を失うつもりはありません。
しっかり面倒を見ると、お約束致します。
どうか一心不乱に、ご自身のなさることに専念してください。
すべてが終わったあと、彼女の前に姿を現す気があるのであれば…
あなたが彼女のために尽力してくださったことを、私が証明致します。
現状維持をお望みであれば、余計なことは申し上げません。
シルバー小隊の過去は、あなたにとっても重い枷であることは、重々承知しておりますので。

アンビー
その枷を、私は打ち砕くわ。

「トリガー」
あなたなら、きっとなし遂げられるでしょう。

アンビー
ありがとう、「トリガー」。
それなら、これを預かってくれる?

「トリガー」
これは?
人形のようですが…

「11号」
これ…
かわいいわ。

【?】目の中に戸惑いを浮かべつつ、「11号」はその人形を掴むと、強く抱きしめる。
その力はあまりに強く、人形が裂けてしまいそうなほどだった。

アンビー
うん、私が戻るまで預かってて。
今の私にとっては…
すごく大切なものだから。

「トリガー」
そういうことでしたら、ご安心を。
しっかりと保管致します。

アンビー
ありが…っくしゅん!

「トリガー」
川辺の夜風は冷えますね。
そろそろビデオ屋に戻りましょうか。
せめて上着を羽織った方が良さそうです。

…ルミナスクエアへ向かいましょう…

「トリガー」
もう戻る時間です、風邪をひかないでくださいね。

①うん、六分帰ろう…
②…もう少し川辺にいたい

出発まであと少し…
まずはプロキシ先生たちに、お別れの挨拶をしないと。

…プロキシ先生にお別れの挨拶をしよう…
★先に「11号」にはなしかける
リン
おかえり、アンビー。
やっと帰ってきたんだね。
楽しかったみたいで何よりだよ。
晩ごはん、もう食べた?
まだだったら、ニンジンチップスが残ってるから、好きなだけ食べちゃっていいからね!

アンビー
もう食べたわ。
しかも、ハンバーガー2つ。

リン
え?
ハンバーガー2つも!?
寝る前にそんな食べて、太っちゃわない?

アンビー
平気。
夜のうちに消費しておくから。

リン
えっと…
一緒にジョギングする相手が欲しかったら、お兄ちゃんを呼んでね!
きっと楽しみにしてるから!

…プロキシ先生にお別れの挨拶をしよう…

アキラ
アンビー、おかえり。
「トリガー」と「11号」はもう寝る準備をしているけど、君も用がなければ、早く休んだらどうだい?

アンビー
分かった。
…アキラ先生、ありがとう。

アキラ
突然どうしたんだい?

アンビー
これまで、アキラ先生にもリン先生にも、たくさんお世話になったから。
邪兎屋も、私も。
邪兎屋のほかにも、こうして落ち着ける場所ができるなんて…
「昔」のアンビーには、想像もできなかった奇跡よ。

アキラ
アンビー、なにか変な映画でも見たのかい?
どうして急にそんな…

アンビー
ううん、ただ言いたくなっただけ。

アキラ
どうも怪しいな。

アンビー
何も怪しくないわ。
――おやすみ、アキラ先生。

出発まであと少し…
まだ「11号」と話したいことがある。

…「11号」に別れを告げましょう…

「シルバーの倫理」
アンビーは「11号」に、彼女が失った記憶を語った。

「11号」
確か昼間の…
「アンビタシア」さん?

アンビー
アンビーよ。
ただのアンビーでいいわ。

「11号」
ごめんなさい、記憶がまだ回復しきってないの。
自分が何を忘れたか分からないこの感覚…
嫌いだわ。

アンビー
私が教える。

「11号」
教える?

アンビー
あなたが忘れたこと、全部教えてあげるわ。
「ハリン」。

「11号」
「ハリン」。
それが、私の名前?

アンビー
あなたが「11号」になるよりも前から、私が知ってるあなたの名前よ。
あの頃の私たちは…
お互いのことを呼び合う言葉を探してた。
その方が素敵だったから。
管理者は気にも留めなかったわ。

「11号」
あまり強そうな響きの名前ではないわね。

アンビー
昔のあなたも同じことを言ってた。

「11号」
「シルバー小隊」とは何?
「合否」を決めるのは誰なの?
分からないことが多すぎるわ。
私の過去に関係があるなら、教えて。

アンビー
すべて話すわ。
でも、一つだけ約束して。

「11号」
何を約束すればいいの?

アンビー
私に…
謝らせて。

【?】シルバー小隊の始まりからその最後まで、アンビーはすべてを話した。

アンビー
当時、理解できなかったことは多いし、今でも分からない。
私が知ってるのは、私たちが軍の派閥争いの末に生まれたってこと。
そこから色々あって、最後に彼らはクローンを一人だけ残すことにしたの…

「11号」
それがあなたなのね…
「アンナ」?
あなたの話によれば、最も評価が高かったと。

アンビー
私はアンナじゃないわ。
アンナは別人。
でも、その通りよ。
彼らは誰ひとりとして生還させるつもりのない、ある作戦を立案した。
私は参加しないことになってたけど…
あなたが前日の訓練中に負傷したから、私があなたの代わりになったの。

「11号」
あなたは生き残れた?

アンビー
当ててみて。
彼女たちが廃墟に埋もれるのを見た。
…あの時の記憶は今でもぼんやりしてて、どうして自分が生き残れたのか、どうして長官たちの前に立つ気力があったのか、分からなかった。

「11号」
上層部がそんな残酷な命令をしたの?
自分たちの兵士をわざと死なせたと?
生きている人間を…

アンビー
そこが問題なの、ハリン。
私たちは人間と言える?
今のあなたなら、多分指揮をとった経験があるだろうけど…
自爆ボンプ隊を敵の拠点に送る時、同じように考えられる?

「11号」
ボンプは人間ではないもの、当然そんな風に考えたりしないでしょうね。

アンビー
それが彼らの言ったことよ。
シルバー小隊はクローンであって、人間じゃないから、って。

「11号」
…⋯

アンビー
だから、シルバー小隊は壊滅させられた。
そしてあなたという生き残りも、彼らは私に処分を命じたわ。

「11号」
あなたは従ったの?

アンビー
当ててみて。

「11号」
しなかったみたいね。
もし、私だったら…

アンビー
命令に従った?

「11号」
そんな残酷な命令を下した長官こそ、処分されて然るべきよ。
それで、あなたはどう動いたの?

アンビー
逃げたわ。
あなたの身代わりになると言ったあと、逃げたの。
彼らのことは信用できない。
ただ、私が消えるのが一番いい手だと思ったわ。
そうすれば…
彼らはきっと、あなたに無茶を言ったりしない。
なぜならあなたは、最後に残った一人だから。
私の選択は正しかったみたい。
少なくとも、またこうしてあなたと再会できたから。
あれから私は…
うまく生きているけど、誰を憎むべきか、時間をかけて考えてきた。
私たちを苦しめた人全員だと、憎しみが大きすぎて、きっと私には抱えきれない。
それにニコに言われたわ。
自分を憎むのもダメって。
だから、私が出した結論は――
すべての元凶はシルバー小隊の技術。
シルバー小隊のクローンが人間と思われないまま、この世に生まれてきてしまったこと。
ビデオ屋のリン先生が貸してくれた映画の中に、こういうのを「倫理」といってるものがあったの。
命は…
人が弄んでいいものじゃない。
人々はとっくに知ってたのね。
本当に賢い人はたくさんいるんだって、その時気づいたわ。
だから、ハリン…
ごめんなさい。

「11号」
なぜ謝るの?
今の話で、あなたが間違っているところなんて…
え?
…私、泣いてるわ。
…どうして?

アンビー
ごめんなさい。
シルバー小隊の隊長として、みんなに対して責任を負うべきだった。
でも、みんなの期待を裏切り続けてきてしまった。
私は強くも賢くもなくて、おまけに勇気もないから…
勇気があれば、もっと早くにあなたに謝れた。
今回だって、あなたがすべて忘れてくれるから話しただけ。

「11号」
すべて忘れる?
ありえないわ、何故…

アンビー
シルバー小隊の兵士が、重傷を負って以降に見聞きした記憶は24時間でリセットされる。
あなたのリミットも近づいてきている。
ハリン、私はもう逃げないわ。
過去の姉妹と向き合わなくちゃ。
彼女の奥の手も、この戦いの結末がどうなるかも分からない。
だから…
頑張る。
私は死ぬかもしれないけど、私の死を背負おうとしないで。
全部忘れて…
ゆっくり眠って。

「11号」
アンビー!
この自己中女!
あなたの謝罪なんて、受け入れないわ!
絶対に!

アンビー
もうすぐ、日付が変わるわ。

「11号」
アンビー――

【?】アンビーは目を閉じ、自分と「11号」の額をそっとくっつけた。
「11号」の手はアンビーを強く掴み、肌に指が食い込む――
ふいに、その手の力が緩んだ。
「11号」の表情は抜け落ち、ぼんやりとしている。

「11号」
ここは…どこ?
私はここで何を…?
私は誰?

アンビー
あなたの名前は、「11号」よ。
……
おやすみなさい。

助けを求めるのは、まだ慣れない。
でも相手はプロキシ先生だから、きっと大丈夫。

…プロキシ先生と話しましょう…

「一人じゃない」
「11号」はアンビーの謝罪を受け入れたものの、記憶に問題が生じ、再び全てを忘れてしまった。
これもまた、アンビーが望んだ結果だった。

アンビー
うるさくしてごめんなさい。
起こしちゃった?

アキラ
アンビー。
何かしようとしているね?

アンビー
それは、どういう…

リン
私たちに内緒で、危ないことするつもりでしょ?

アンビー
終わらせなきゃいけないことがあるの。
私は頑張るわ、だから心配しないで。
ね。

アキラ
可愛く言ってごまかそうとしても無駄だ。
言っただろう?
アンビーが巻き込まれている件について、僕たちにも知る権利があると。

リン
それに…
本当にアンビーが成長したっていうなら、周りに頼ってもいいと思うなあ。
一人だけじゃ、結構難しいかもしれないよ?

アンビー
それでも、これは私の責任…
って言おうと思ってたんだけど…

アキラ
うん?

アンビー
映画に出てくる孤独なヒーローは、たいてい悲しい結末を迎えるわ。
勝ったとしても故郷や、ペットの猫、家族や恋人を失ってしまう。
私はもう、大切なものを失くすのは嫌。
だからプロキシ先生、力を貸して。
あのホロウに行って、歪なラボを壊すのを手伝ってほしいの。
かつての家族と…
決着をつけるために。

リン
私もお兄ちゃんも、そう言ってくれるのをずっと待ってたよ。

アキラ
なんとなくタダ働きする流れになっている気もするけれど、これも君の作戦かい?

アンビー
いいえ、邪兎屋からの依頼と思って。
ぜんぶ終わったら、私が払う。
でも今は…
行っておきたい場所があるの。

リン
一人でホロウに行っちゃうのはナシだからね!

アンビー
しないわ、安心して。
私の決意を…
プロキシ先生には見届けてほしいから。

過去の過ちを正すために、目の前の…
敵を倒しましょう。

…敵を倒しましょう…

アキラ
アンビー、出発するかい?

①ええ
②もうちょっと待って


これで一件落着。
みんなと話しましょう。

…みんなと話しましょう

ニコ
あら…
アンビーったら、懐かしいおべべ着てるじゃない。

アンビー
うん。
ニコが拾ってくれたとき、これを着てた…
いつの間にか、こんなに時間が経ってたなんて。

ニコ
そんな昔の服、よく入ったわね…
あの頃のやつなんてあたしはもうとっくに着れないでしょうに…

アンビー
ええ、私もそう思う。

ニコ
ちょっとアンビー、どこ見てるワケ?

アンビー
あ、違うの…
私は…

ニコ
まったく、相変わらず嘘がヘタなんだから。

…みんなと話しましょう…

ビリー
よっ、そこのかわいいお嬢サン。
俺の友達を見かけなかったか?
アンビーってんだけどよ!

アンビー
……
わ、私がアンビーよ。
あなたは同僚のビリー・キッド。
本当。
証明もできるわ。
一緒に経験したことも全部覚えてる…

ビリー
だあっ、そんな焦んなって!
冗談だよ冗談。
それ、邪兎屋に来る前の服か?
ヒュー!
いいじゃねえか、キマってるぜ!
う~ん、俺も昔のカッコに戻してみっかな…?

…みんなと話しましょう

アンビー
あの人形…
私を監視するためだったの?

猫又
にゃあ…
バレちゃったかあ。
あとでこっそり回収するつもりだったのに~⋯

アンビー
私にも一応、あれはあるから。

猫又
あれ…?

アンビー
えっと…確か…
そう、プライバシー。

猫又
ふんだ、子猫ちゃんにはなんのことかサッパリだぞ!
まあ?
あんたみたいな頭バーガー女でも、何も言わずにいなくなったら…
その…
…ニ、ニコが心配するでしょ!
ニコはすっごく…
それはもうヤバいくらい心配してたんだぞ!

アンビー
ごめんなさい。
二度としないわ。

猫又
へへん…
じゃ、指切りげんまんでもしとく?

…みんなと話しましょう

アンビー
ハ…
「11号」は、もう連れて行かれたの?

「トリガー」
ご安心ください。
私が面倒を見ると約束したのですから。

アンビー
あんな不安定な状態で、彼女をホロウに入らせるのは「面倒を見ている」と言えるの?

「トリガー」
正確に言えば「入らせる」ではなく「一緒に入る」、です。
人には誰しも執念があり、私は「11号」の執念を止めるつもりもありません。
ただ、彼女が一人にならないようにするだけです。

アンビー
そういう風に考えてるのね。
…「11号」は、軍にいて大丈夫だと思う?

「トリガー」
軍内部の派閥争いは続いていますが、幸いにしてシルバー小隊のような過去の話は、あまり焦点にはなっていません。
それに、ビデオ屋のソファーより、軍にいた方が専門的なケアを受けられます。

アンビー
なんか複雑…
やっぱり私は軍に向いてない。

「トリガー」
そう悲観しないでください。
私の知り合いで、軍に向いている人物を数えても3人を超えないでしょうから。

アンビー
あなた自身も含めて?

「トリガー」
いいえ、断じて含みません。

…みんなと話しましょう

リン
アンビー、おかえり!

アキラ
邪兎屋のみんなが迎えに来たよ。
「トリガー」もまだいるし、みんな君と話したいんだろう…
それに、君の無事も知りたがってる。
先にみんなと話してきたらどうだい?

①うん、そうする

リン
それじゃ、私たちはここで待ってるね!

-------------------------

②もう話したわ

リン
早いねアンビー。
いろいろあったけど、また笑顔が見れて良かったよ!

アンビー
うん、私はもう、後悔のない決断ができたから。
…たぶん。

アキラ
それなら、ひとまずは一安心だな。

アンビー
…プロキシ先生、それからアキラ先生…
感謝を口にするくらいじゃ足りないって分かってる。
いつか私も、あなたたちの力になりたい。
その時は、今日と同じくらいやる気を出すから。

リン
わっ、じゃあその時を楽しみにしてるね!

アキラ
ああ、覚えておくよ。
次に厄介ごとがあった時は、アンビーに思いきり頼らせてもらおう。

アンビー
ええ、そうしてほしい。
アンビー、いつでも出撃可能よ。

何か気になることが起きたようだ。
お兄ちゃんと話してみよう。

…お兄ちゃんと話そう…

それから、長い時間が流れた――

アキラ
リン、さっき街で誰とばったり会ったか、当ててみてくれ。

①私かな

アキラ
リンのドッペルゲンガーってことかい?
うん、会えたら面白そうだけれど…
残念、不正解だ。

-------------------------

②わからない…

アキラ
少しくらい足掻いたりしないのかい?
…まあ、いいか。

-------------------------

アキラ
聞いて驚かないでくれよ。
アンビーと「トリガー」が一緒にハンバーガーを食べていたんだ。

①仲が良いんだね
②珍しいコンビだね

アキラ
僕もそう思って、話しかけてみたんだ。

①何の話をしたの?
②あの2人、最近どうしてたの?

アキラ
それは…
リンが直接聞きに行った方が早いと思うよ。
それに「リン先生はいないの?」と聞かれてしまったからね。
まだ「141」の辺りにいるはずだ、今から行って話してみないかい?

雑貨店「141」まで行ってみよう。

…雑貨店「141」に行こう…

「ハンバーガーと映画」
「11号」がこの間に起きた全てを忘れ、未だに彼女を憎んでいると、「トリガー」はアンビーに伝えた。
アンビーはそのことを平静に受け止めた。

アンビー
もぐもぐ…
やっぱりチキンバーガーが一番ね。

「トリガー」
あの…
ハンバーガーの臭いをまとって「11号」に会ったら、ジャンクフードを食べたことを問い詰められて…

アンビー
ハンバーガーに臭いはないわ。
いい香りはあっても…
すぐに消えるから大丈夫。

「トリガー」
けっこう残りますよ。
――そうですよね?

①うん!

リン
うんうん、結構におい残るよ。
特にチキンバーガーなんて…

-------------------------

②【?】

-------------------------

アンビー
そんなことない…
あ、プロ…
いつからここに?

①「11号」は…元気?
②【?】

リン
ついさっきだよ。
「11号」の話をしてるみたいだったから、気になって来ちゃった。
ほら、最後に会った時はあんな様子だったから…
心配にもなるでしょ?

「トリガー」
ありがとうございます。
ビデオ屋の店長さんが、こんなにも自分のことを気にかけてくれていると知って、「11号」も喜ぶでしょう。
彼女は無事に回復致しました。
最近の訓練では、怪我を負う以前と変わらないパフォーマンスを見せていますよ。
…少なくとも体の方は、ですが。

①⋯体の方?
②【?】

リン
…体は回復したけど、まだ記憶に問題があるってこと?

「トリガー」
いえ、それも違うのです。
今日アンビーをお誘いしたのは、実はそのことをお話しようと思ってのことでした。
「11号」の記憶は、怪我を負う以前と同程度まで戻っております。
皆さんの名前を呼び間違えることはありますが、自分の身分は確かで、短期的な記憶が一晩で消えることもありません。

アンビー
回復したのね…
良かった。

「トリガー」
本題はここからです。
あの時に起きたことは、彼女の記憶からすっかり抜け落ちてしまったようなのです。
アンビー、あなたと共に過ごした時間のことを。

アンビー
言った通り…
良かったわ。

「トリガー」
今もまだそう思うのですか?
彼女は依然…
裏切られ、見捨てられたままだと思っているのですよ。
「裏切り者」アンビーを、憎んで…

アンビー
それでいいの。

「トリガー」
そんな…

アンビー
ハリンは私よりもずっと強いわ。
憎しみを抱えながら、それでも生きていける程に。
うまく説明できないけど…
確実に言えるのは――
彼女の憎む相手が私であれば、それでいいの。
私たちが会うことはもうないわ。
だから彼女に殺されることもないし、殺すこともない。
危険なのは、彼女の憎悪が別の相手や、他の物事に向いてしまうことだから。
ハリンはとても純粋よ。
まるで水の中でも燃え続ける金属のようにね。
そんな彼女の炎が、彼女自身を傷つけるような姿を私は見たくないわ。

「トリガー」
…そこまでのお考えが、あってのことなのですね。

アンビー
ぜんぶ映画を見ていた時に思ったの。

「トリガー」
そんな内容の映画があるのですか…?

アンビー
ええ、「トリガー」も今度一緒に見る?
ビデオ屋で。

①いつでもどうぞ
②【?】

リン
いいじゃん!
いつでも大歓迎だよ~

「トリガー」
店長さんはお優しいですね。
慣れない扱いに、思わず顔が熱くなってしまいそうです。

アンビー
「トリガー」だって、すごく優しいわ。
みんな、まだハンバーガーを食べる?
今日は私のおごりだから、遠慮しないで。

-------------------------

アンビー
もぐもぐ…
今日のフライドチキン、すごくサクサク。
最初は、ハンバーガーならどれでもただ美味しいと思ってたけど…
前より舌が肥えた気がするわ。
これはあまり良くないこと?

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「トリガー」
これは…
お久しぶりですね、店長さん。
「あの時」のことを詳しく話す機会はありませんでしたが、どうも私たちはご縁があるようです。
ですがいま重要なのは「11号」のこと…
あの時のことは、またの機会にいたしましょう。
非常に気になっていたことがあるのですが…
店長さんはアンビー、そして「11号」とは、以前からのお知り合いで間違いないでしょうか?

>うん、そうだね

「トリガー」
この目で確かめることはできませんが、私は彼女たちの容貌が非常に似ていると確信しています。
そう…ですよね?

①うん、前からそう思ってる

「トリガー」
それを察していながら、あえて触れない分別と配慮…
素晴らしいと思います。
やはり、あなたから学ぶべきことはまだまだ多いようです。

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②まったく気付かなかった…

「トリガー」
それは…
店長さんにとってみな違う個人だから、ということでしょうか?
なんともヒロインらしい発言ですね、謹んで心に刻むとします。

-------------------------

③え?2人の顔、同じなの?

「トリガー」
え?
私に聞かれるんですか…
私だって、同じことを聞きたいですよ…?

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ふぅ、ついに一段落!
お兄ちゃんと話してみよう!

…お兄ちゃんと話そう…

アキラ
リン、話が終わったのなら帰ろうか。

>行こう

《依頼完了》

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