涙と過去を埋めて(下)/休眠体回収計画

ライカンさんは市長さんの代行として私たちに依頼を出した。
ホロウへ向かい、目標地点からサクリファイスの休眠体を回収しよう。

依頼人:ライカン
場所:【?】
目標:各目標地点にあるサクリファイスの休眠体を回収しよう

ビビアン
ありがとうございます、「パエトーン」様。
モッキンバードを信じてくださって…

「消えたサクリファイス」
目標地点にあるはずのサクリファイスの休眠体が消え、一同が困惑する中、誰かがここに近づいてきていることに気付く…

ビビアン
ここにあったはずの休眠体は、先に持ち去られてしまったのでしょうか?
それとも、讃頌会が休眠体の隠し場所を変えようとしている?
いいえ、適切に扱わなければサクリファイスが目覚めてしまうのです。
かえって自分たちが危険になるのですから、よほどの事情がない限り移動なんてしないはず…
まさか彼女は、市長が捜査の手を伸ばしていることに気付いて…?

ビビアンが小声で何か言っていたとき、少し離れた場所から男性たちの話し声が聞こえてきた。
相手が誰なのか分からなかったため、ビビアンを引き寄せて一旦近くの場所に隠れ、こっそり聞き耳を立てることにした…

【?】がぞう

「暗幕の下では」
TOPS関係の社員がハルトマンの情報の信ぴょう性を疑い、レイヴンロック家がサクリファイスの実験に関わっていることを暴いた。
ビビアンは讃頌会との因縁についてほのめかした…

TOPS関係の若手社員
ハルトマンのやつ、俺たちTOPSと繋がりたいばかりに情報をでっち上げたんじゃないでしょうね…

TOPS関係の若手社員
もう何度も辺りを回ってますけど、なにも見つからないじゃないですか。

TOPS関係の中年社員
ま、昔からレイヴンロックの言うことは話半分に聞いとけって言うしな。
ここ数年で落ちぶれたのだって別に不思議じゃない。

TOPS関係の若手社員
連中、昔はずいぶん裕福だったそうですね。
当時は何をシノギにしてたんです?

TOPS関係の中年社員
さあな。
一応、表向き関わってるのはカタギの分野だそうだが、裏で何をしているのかは誰も知らん。

TOPS関係の若手社員
サクリファイスみたいな怪物を、こっそり作ってたんじゃないでしょうね。
でなけりゃ、むかーしの休眠体がこの辺にあるなんてこと知りようがなくありませんか?
それに俺、聞いたんです。
たとえオリジナルのサクリファイスが使えなくても、予備の計画があるって…
あの男、えらく自信満々に言ってたんですよ。

TOPS関係の中年社員
予備の計画?

TOPS関係の若手社員
いやまあ詳しくは知りませんけど…
俺がエドモンドさんのそばにいたとき、そんなことを言ってたんです。
TOPSはサクリファイスを何に使うつもりなんでしょうね?
研究に使うんだとしたら、いつか俺たちもホロウで普通に暮らせる日が来るんでしょうか?

TOPS関係の中年社員
よせよ。
知らない方がいいこともある。

TOPS関係の若手社員
はいはい…
とりあえずこの辺では何も見つからなかったわけですし、ホロウを出て報告に戻りましょうか。
今戻れば、ちょうど外勤を打刻してから退勤できますしね!

TOPS関係の中年社員
…ああ、まずは出るか。

TOPS関係者が去った後、ビビアンは浮かない顔をしていた…

ビビアン
やはり…
愚かなハルトマンは、TOPSに入りたい一心で虎の皮を求めるような真似をしているのですね。
讃頌会にいるあの子は、人の命を何とも思っていない…
この件に関わる人間が増えるほど、危険に晒される命も増えるのに…

>「あの子」って…?

リン
ビビアン、さっきから気になってたんだけど、「彼女」とか、「あの子」って、誰のこと…?

ビビアン
はっ…!
うっかりしていたのです。
どうか気にしないでください。
「彼女」とは、讃頌会のメンバーなのです。
以前、わたしと少なからぬ関わりがありました…
サクリファイスのことを聞いた後、何が起こったのか知りたいと思ったのも、そのためです。
けしてあなたに隠し事をしようとしたわけではなくて、ただ…
讃頌会は、わたしにとってあまりいい思い出ではないので、まだ向き合う勇気が持てなくて…
ですから「パエトーン」様、もう少しだけ時間をください。
何から話すべきか整理ができたら、必ずやあなたにお話しするのです。

>わかった、聞かないよ

リン
わかった、待ってるね。
無理やり傷に触るようなのは嫌だし。
今の毅然としてて優しいビビアンを見れば、ここまで頑張ってきたんだなってことはわかるもん。

ビビアン
「パエトーン」様…!
ああ、もし急いでいなければこの場でたっぷり三時間はあなたを賛美するのに!
このことは忘れずに帰って、就寝前にきちんと賛美を済ませます!
とにかく、まずは休眠体を探しに行きましょう。
讃頌会はきっと、サクリファイスを回収しようとしている動きに気付いているはずなのです。

ビビアン
ハルトマンの予備の計画とは一体…
とても気になりますね…
嫌な予感がするのです

ビビアン
ここにあるはずのサクリファイスの休眠体も消えたのです。
こんなにも正確に休眠体の現在位置を把握している人物、一体誰なんでしょう…
次の場所に行ってみましょう。
この全てが新エリー都の悪夢にならないことを祈るのです。

ビビアン
あんな事をしたとはいえ、ヒューゴにも理由があるのです
モッキンバードは、世の多くから悪と見られているかもしれませんが…
その誘いを受けて、むしろわたしは正しい道を歩めるようになりました
「呪い」の力以外を必要とされたのは初めてだったのです
ここも空っぽなのです…
ひと足遅かったのでしょうか?
…前方に誰かいるのです!


【?】がぞう

「霧の中にいる者」
ビビアンの讃頌会での旧友カミエルは、サクリファイスの休眠体を処分している、カミエルはビビアンと多く語ることを拒んだ…

???
やはりあなたでしたか、ビビアン。

ビビアン
カミエル姉様!
どうして、あなたがここでサクリファイスを…?

カミエル
そのように畏まった呼び方は不要です、ビビアン。
私はあなたの「姉様」などではないのですから。

ビビアン
あなたがここにいるのは、讃頌会を止めるためですか?

カミエル
…ビビアン。
私は、讃頌会を離れたことはありません。

ビビアン
どうしてです?
あなたは、ランドンが何をしたか知っているはずなのに!

カミエル
ランドン様は…
あれも始まりの主のためでした。
方法こそ過激でしたが、必要な犠牲だったのです。
ビビアン。
あなたはあのとき既に、離れることを選んだ…
再びこの件に首を突っ込む必要はありません。
今日はあなたを見なかったことにします。
お友達と一緒に、ここから出て行ってください。

ビビアン
カミエル?
もしかして無理強いされているのではありませんか?
もしそうなら、わたしが助けになれるのです…!

カミエル
助ける?
あの時、あなたが「彼女」を助けたようにですか?

ビビアン
わたしは…

「ビビアン、あなたは涙を流していますね」
「そして、その視線は私に向けられている…」

ビビアン
…違う、違うのです…

カミエル
ビビアン、あなたはあの時から全く変わっていませんね。
涙を隠す必要はありません。
私はこれから辿る結末について、ハッキリと理解しているつもりです。
ですが、あなたにはあなたの選択があったように、私には私の選択があります。
一言だけ忠告しておきます、この件には手を出さないことです。
彼女は…
あなたをとても憎んでいますから。
あなたに会ったことは、彼女には言わないでおきます。
ですからもう、私たちの前には現れないでください。

ビビアン
カミエル!

カミエルは最後にビビアンを一瞥し、自ら投げた煙幕弾の煙に消えた。
その音とともに、何体かのエーテリアスが引き寄せられてきた。
いくつか疑問はあれど、目下の危機の処理が先決だ…

ビビアン
「パエトーン」様、お気を付けください!
先ほどのことは…
後で必ずご説明します!
まずは目の前のエーテリアスを片付けましょう!

「誰も知らない過去」
ビビアンは幼少期を讃頌会で過ごしていたため、自らサクリファイスの調査に乗り出した。
事件の全貌がまだハッキリと見えない今、私たちはビビアンの古い友人を訪ねて、さらなる情報を探ることにした。

エーテリアスを片付けた後、近くをしばらく捜索したものの他に眠っているサクリファイスは見つからなかった。
ビビアンと相談して、一旦ホロウを出てから次の行動について話し合うことにした。
ちょうどその時、電話が鳴り出した――

アキラ
リン、ビビアン。
予想以上に時間がかかったようだけれど、何かあったのかい?

ビビアン
店長様から渡されたいくつかの座標で、サクリファイスの休眠体は既に、ほとんどが失われていました。
カミエル…
讃頌会の人間が、自ら多くの休眠体を処分していたのです。
理由はさっぱりですが…

アキラ
讃頌会の人間が、わざわざ休眠体を破壊する理由はなんだ…?

①私も見たよ…

リン
ビビアンが言ったことは本当だよ。
私もこの目で見たし…

ビビアン
おまけに、その讃頌会の人間は…
わたしのかつての知り合いなのです。
ランドンが死んで、てっきり彼女も讃頌会を離れたと思っていました。
まさか残ることを選ぶなんて思わなかったのです。

アキラ
ビビアン…
君と讃頌会には、何らかの関わりがあったのかい?

ビビアン
小さい頃、わたしはしばらく讃頌会に身を寄せていたことがあります。
当時、ランドンはこのエリアの讃頌会内部では、とても尊敬を集めている人物だったのです。
やがてあまりに多くのことが起こり、ランドン亡きあと、わたしはあの場所を後にしましたが…
とにかく、わたしがサクリファイスを気にかけているのはこうした縁があるからこそなのです。
わたしはよく知っています。
サクリファイスを生み出すために、もうすでに多くの命が犠牲になっていることを…
ヤヌス区でサクリファイスが現れたと聞いたとき、わたしはひたすら不安でした。
あのとき、讃頌会で起こったことの再現となってはなりません。
だからこそわたしはヒューゴに頼んでまずはサクリファイスのコアから調査を始めてもらったのです。

アキラ
ビビアン…

ビビアン
待ってください!
今はまだ慰めのタイミングではないのです。
わたしはただ、ことの経緯をご説明しているだけなのですから。
目下、わたしたちにはもっと重要なことがあります。
慰めについては…
その、悲しいときは必ず「パエトーン」様によしよししてもらいますので!
恐れながら「パエトーン」様、そのときはわたしのためにお時間を作ってください!
わたし、一度沈んだらなかなか浮き上がってきませんから。

①わかった

リン
大丈夫、ちゃーんとあんたに上を向かせてみせるよ。
そうなるまで一緒にいてあげる。

ビビアン
は、はい…!
では、今は本題に戻りましょう。
さきほどホロウで出会った、あのTOPS関係者ふたりが気になるのです。
彼ら曰く、ハルトマンは自信ありげに予備案について語っていたようです。
これは、最近もみ消されたいくつかのニュースと、関連があるように思われます。
実は、レイヴンロック家が仕切る鉱区でこのほど事故があり、多くの労働者が命を落としたそうなのですが…
遺族に対して、基準をはるかに超える賠償金が支払われたことで、レイヴンロック家の責任を追及するような動きは起こりませんでした。
ですがよく考えてみてください。
現在のレイヴンロック家の財政状況で、それだけ多額の賠償金をポンと支払えたのは不思議ではありませんか?

①怪しい…

リン
言われてみると怪しいね…
鉱区での事故って言ってるけど、実は違う可能性もあったり?

ビビアン
はいなのです。
労働者たちが亡くなった原因は、鉱山の事故などではないと睨んでいます。
このことについて、古い友人たちを訪ねてみるつもりです。
「パエトーン」様、お時間はありますか?
彼らは六分街からそう遠くない場所にいるのです。
できれば、一緒に行きたいのですが

①一緒に行こ!

リン
わかった。
一緒に行こ!

>≪涙と過去を埋めて(下)≫

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