鏡花異遊記/異郷の文人

遠くからやってきたと自称する怪しい男性がバレエツインズに現れた。
彼は自分の作品を宣伝してるみたい、一体何があったか、様子を見に行こう…

…バレエツインズに現れた怪しい男性を探そう…

子虚
どうして誰も参加してくれないのでしょう…?

子虚
寄ってらっしゃい見てらっしゃい!
異郷の小説家、この子虚が、特別な物語体験をお届けしますよ〜!
あるあるな展開にもうお腹いっぱいじゃないですか?
新しい刺激が欲しくなりませんか?
ただの読者でいることに飽きたなら、あなたが物語のつづり手となる番です!
目新しい形、目新しい展開…
…そして最も重要なのは、この子虚と一緒に、唯一無二の作品を書けることです!

①あの…
②ちょっといいかな…

子虚
おや、私が考えた新たな物語を体験されたい方ですか?
…あ、待ってください。
一応断っておきますが、もうほとんどのアプリは登録しましたし、「お友達紹介キャンペーン」目当てなら声かけても無駄です。

①え?
②それはいらない

子虚
ほう、それ目当てではなかったんですね?
失礼しました。
少しばかり神経質になってしまったようです…
ここでずっと呼び込みをしていたのですが、話しかけてきたのは、新規ユーザーを誘う人とか、逆に客引きでチラシを配る人がほとんどで。
おかしいですねぇ。
みんな、私のアイデアに興味が無いのでしょうか?
それとも、もう「物語」は飽き飽きなのでしょうか…

①物語は好き!

子虚
物語がお好きなんですね?
それはいいですね!
新しい形で書かれる物語にもご興味がおありなんじゃないですか?

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②つまらない物語が多すぎるから

子虚
ふむ、なるほど。
確かに退屈な物語とはヒ素のように無味無臭で摂取した者の心を蝕むもの…
ですが、今回は必ずご満足いただけるでしょう。

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子虚
物語は語りで全てが決まる。
それが「出来事」との根本的な違い。
同じ出来事でも、順番を変えれば異なる「物語」になりますから。
こういう新しい形の物語にあなたをご招待したいのです。
私はこれを「インタラクティブ・ストーリー」と呼んでいて、提供するのはあくまで出来事の冒頭です。
あなたの選択で物語は紡がれ、選択によっては、物語が変わってしまうことも…

①どっかで聞いたことある気が

子虚
ふむ…
ゲームに似ている、と言いたいのかもしれませんが、この両者は違っていると思っています。
私の物語は「文字」だけで綴られていますから。

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②つまりゲームってこと?

子虚
ゲーム?
確かにそうとも取れますが、この両者は違っていると思っています。
私の物語は「文字」だけで綴られていますから。

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子虚
しかしまあ、ゲームからインスピレーションを得ているのは事実ですね。
文学がゲームや映画に影響を与えるのと同じように、その逆もまたアリではないでしょうか。

①それは一理あるかも
②ゲームと文学ね…

子虚
ご覧の通り、私は小説家です。
しかし拙著の売り上げはペンネームのように無いに等しく…
拙著に人を惹きつける力が無いのは読者――
あるいは第二の作者が欠けているからかと…
そこで、読者を本当に作者にしたらいいのではないか、と。
私の物語を受け入れるだけではなく、実際の創造に参加してもらうんです。
こうして私は「共謀者」を探すことにしました。

①なんかうまいこと言ってるけど…
②着想が欲しいだけでしょ?

子虚
ははっ、そういう見かたもできますが、私は本気です。
選択でつづる物語は私一人の作品ではありませんが、一味違う物語のために、あえてここに来たんです。
そうですね、「衛非地区」を知りませんか?

①衛非地区?
②それってどこなの?

子虚
私はそこから来たんです。
あそこは小説家にとって最高の場所――
上と下、内と外、清と濁…
市井に溶け込むもの、俗世と離れているもの、それから…
特別なもの。

①いい場所みたいだね
②ちょっと気になった!

子虚
異郷の方の目には魅力的に映るものでも、私にとっては慣れ親しんだもの。
なので、別の生き方を求めて、ほかの場所で新たなアイデアを探すことにしました。
もし新しい物語が見たい、違う生活を体験したいのなら、他の土地を歩いてみることです。
私が思うに、衛非地区はあなたにとって、良い旅先かもしれません。

①機会があれば
②お店が忙しくなければ

子虚
さて、話を戻しますが、これだけ話したのは、あなたを物語に誘いたいからです。
題して『鏡花異遊記』、神秘的な感じがするでしょう。
興味はありませんか?
ある哲学者が「作者の死」という概念を提唱しました。
これが意味するところは…
読者による物語の参加だと思うんです。
私の物語を一緒に「私たちの物語」にしませんか?

①参加する!
②用事が済んでからにする

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子虚
もう心を決められましたか?
私と一緒に、「私たちの物語」を完成させますか?

①うん!
②もう少し待ってて

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ストーリーが終わりを迎えた、全てのストーリーに結末があるように。
しかしそれが終わっても、また別のストーリーが始まる…

…子虚から物語に対する感想を聞こう…

子虚
私は大満足ですが、あなたはいかがだったでしょうか?
あなた無しではきっと、この物語は書けなかったでしょう。
本当に感謝してもしきれません。

①私も大満足!

子虚
「私たちの物語」を気に入ってくださったようで、嬉しいです。

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②そこそこ満足したかも

子虚
どうやらまだまだ研鑽を積まないといけませんね。

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子虚
いつかお互いの物語を持って、また再会するなんてことがあるかもしれませんね。
あるいはこれで最後なんてことも…

①また会えるよ
②未来のことはわからない

子虚
そうかもしれませんね。
なにはともあれ、この思い出はしっかり心に刻みました。
紙に写したこの物語を、記念としてあなたにお渡ししましょう。

一陣の風が吹き抜け、子虚の手から紙片をさらう。
屈んでそれを拾い、顔を上げると――
そこに立っていたはずの人はいなかった。
まるで、最初からそこには誰もいなかったかのように。

小説家と名乗っていた子虚の姿が消えてしまった…
バレエツインズには幽霊が集まるという都市伝説がある。
夢でも見てたのかな?
でも手にある、この薄い紙は、確かに存在してるもの…

鏡花異遊記
【?】
子虚と共に完成させた「物語」は、確実に存在している。
夢を見た、あるいは元からあなた自身が夢の中にいた。
物語に心を打たれ、物語に驚嘆し、物語の中で涙を流した。
そうして物語は、あなたの生命の一部になる。
虚構と現実の境目は、一体どこにあるのだろうか?

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迷子の猫
にゃお~

(この猫…
どこかで見たような…
あの「子虚」と名乗る人も、似たような色の服を着てた気がする。)

①可愛い猫ちゃんだ!
②どうしてここに?

迷子の猫
にゃお!
にゃお、にゃ~!

(この猫を見てると、何故か記憶が蘇るような感覚に陥る…
まるで、子虚と一緒に創った「物語」の中に戻ったような気分…)

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《依頼完了》

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